遺族年金の条文は「生計を維持し」。未支給年金は「生計を同じくしていた」。健保の被扶養者は「主としてその被保険者により生計を維持する」。——同じ「生計」の話なのに、条文は語をきっちり使い分けています。ここを混ぜて覚えると、選択式で語を入れ替えられたときに気づけません。
条文・施行令・認定基準の原文で、3つの線引きを地図にしました。
地図——どの制度が、どの語か
| 制度 | 根拠 | 条文の語 |
|---|---|---|
| 未支給年金 | 国年法19条 | 「死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの」 |
| 死亡一時金 | 国年法52条の3 | 「死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの」 |
| 児童手当(父母) | 児手法4条 | 「監護し、かつ、これと生計を同じくする」 |
| 遺族基礎年金 | 国年法37条の2 | 「死亡の当時その者によつて生計を維持し」 |
| 遺族厚生年金 | 厚年法59条 | 「死亡の当時…その者によつて生計を維持したもの」 |
| 加給年金 | 厚年法44条 | 「その者によつて生計を維持していたその者の六十五歳未満の配偶者又は子」 |
| 遺族補償年金 | 労災法16条の2 | 「労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していたもの」 |
| 児童手当(養育者) | 児手法4条 | 「監護し、かつ、その生計を維持する者」 |
| 被扶養者 | 健保法3条7項 | 「主としてその被保険者により生計を維持するもの」 |
上3行が「同じくする」の家族、真ん中が「維持」の家族、いちばん下だけ「主として」です。
未支給年金は、遺族年金より輪が広い
国年法19条の未支給年金は、範囲が「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族」まで及び、要件は「生計を同じくしていた」です。一方、遺族基礎年金(37条の2)は配偶者・子に限られ、要件は「生計を維持し」。
同じ人が亡くなっても、未支給年金を受け取れる人の輪と、遺族年金を受け取れる人の輪は別物です。広い順に並べると「同じくしていた×三親等内」>「維持×配偶者・子」。この広い・狭いが偶然でないことは、その先で扱う施行令を見ると分かります。
労災だけ「その収入によつて」
労災法16条の2は「労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していたもの」。国年・厚年は「その者によつて」です。
健保だけ「主として」——助詞まで違う
健保法3条7項の被扶養者は「主としてその被保険者により生計を維持するもの」。遺族年金の条文に「主として」はありません。しかも助詞が健保=「により」、年金=「によつて」で揃っていません。
1つの号に両方出てくる場所——遺族基礎の配偶者
国年法37条の2第1項1号は、配偶者の要件をこう書きます——死亡した者に「よつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること」。
亡くなった人との関係は「維持」、残された子との関係は「同じく」。1つの号の中で2つの語が使い分けられている、この記事の地図の縮図みたいな条文です。
この先は「その先」——AIコーチ加入者の読み物です
ここまでが「試験ではここまで」。この先は、答えがそう決まる判断の構造(法律→指針・通達→判例のつながり)まで踏み込みます。
- 「生計維持」の定義は、施行令にあります
- 「厚生労働大臣の定める金額」は、いくらか
- 「配偶者」には事実婚を含む——3法とも、書き方が違う
- 児童手当は1つの項で両方使う
- 持って帰る形