「目的条文は暗記するしかない」——そう言われて、8科目ぶんの1条を書き写した人は多いと思います。そして、たいてい途中で混ざる。
混ざるのは記憶力のせいではありません。「目的条文」と一括りにしている中に、そもそも目的を言っていない条文が混ざっているからです。まずそこを分けると、覚える対象が減ります。
「目的とする」で終わらない条文が、3つあります
条文の終わりの一句だけ並べてみます。
| 法令 | 1条の見出し | 終わりの一句 |
|---|---|---|
| 労働安全衛生法 | (目的) | 促進することを目的とする |
| 労働者災害補償保険法 | — | 寄与することを目的とする |
| 雇用保険法 | (目的) | 図ることを目的とする |
| 健康保険法 | (目的) | 寄与することを目的とする |
| 国民年金法 | (国民年金制度の目的) | 寄与することを目的とする |
| 厚生年金保険法 | (この法律の目的) | 寄与することを目的とする |
| 労働基準法 | (労働条件の原則) | 向上を図るように努めなければならない |
| 徴収法 | (趣旨) | 必要な事項を定めるものとする |
| 社会保険労務士法 | (社会保険労務士の使命) | 実現に資することを使命とする |
下の3つが、いわゆる目的条文の形をしていません。ここを「目的条文」として覚えようとするから、書き出しても終わりが出てこないわけです。
労基法1条は、目的を語っていません
労基法1条は、見出しからして「労働条件の原則」です。中身も、この法律が何をするかではなく、労働条件そのものがどうあるべきかを言っています。
「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」——主語は「この法律は」ではなく「労働条件は」。
そして2項にあたる部分は、こう続きます。「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」。
徴収法1条は「趣旨」——目的ですらありません
徴収法の1条は、見出しが「(趣旨)」です。
「この法律は、労働保険の事業の効率的な運営を図るため、労働保険の保険関係の成立及び消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合等に関し必要な事項を定めるものとする」。
何を守るかではなく、この法律が何を書いてあるかの宣言です。目的条文の顔ぶれに並べると浮きます。逆に言えば、徴収法だけは「定めるものとする」で終わると覚えれば、選択肢で迷いません。
社労士法1条は「使命」——しかも隣に「職責」があります
社労士法1条は「(社会保険労務士の使命)」で、終わりも「実現に資することを使命とする」。
そしてすぐ隣の1条の2が「職責」です。「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない」。
ここまでで、覚える対象が減りました
- 「目的とする」で終わるグループ … 安衛・労災・雇用・健保・国年・厚年
- 労基だけ「努めなければならない」(見出しは労働条件の原則)
- 徴収法だけ「定めるものとする」(見出しは趣旨)
- 社労士法だけ「使命とする」(隣に職責)
丸暗記の前に、この3つを例外として先に隔離する。残り6本は同じ終わり方なので、あとは中身の差だけを見ればよくなります。
この先は「その先」——AIコーチ加入者の読み物です
ここまでが「試験ではここまで」。この先は、答えがそう決まる判断の構造(法律→指針・通達→判例のつながり)まで踏み込みます。
- 空欄はどこに来るか——「入口の一句」
- 持って帰る形