「原則25年」がもう原則でないのに中高齢者の特例が出るのは、20年を15年に書き換える場所があるからです

2026.04.01 法令基準最終検証 2026.07.179中高齢者の特例受給資格期間加給年金額振替加算

広告はありません。事実には出典がついていて、その場で原文を確かめられます。

生年月日と年数がズラッと並んだ、あの表。「中高齢者の期間短縮の特例」で手が止まる受験生は多いです。
でも丸暗記の前に、確かめておきたいことがあります。この特例が短縮している「原則25年」は、もう原則ではありません。老齢基礎年金も老齢厚生年金も、条文が要求しているのは10年です
では、なぜ今も問われるのか。この特例が生きている場所が、25年とは別にあるからです。そこまで見ておくと、表は「覚えるもの」から「導けるもの」に変わります。

まず、原則は10年

条文を見ます。老齢基礎年金は「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年に満たないときは、この限りでない」——つまり10年以上あれば出る、をただし書きの裏返しで書いています。老齢厚生年金も同じで、「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年以上であること」が支給の要件です
年金機構のガイドも、この10年をまず前に出します。「老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取るためには、10年以上の資格期間が必要です。ただし、平成29年7月以前に受給開始年齢を迎える方は、原則25年以上の資格期間が必要になります」
ここが、この論点の全体像です。25年は消えたのではなく、平成29年7月以前に受給開始年齢を迎える方に残っている。中高齢者の特例は、その25年を短縮するための道具です。

特例の位置づけを、公式の言い方で押さえる

ガイドは「資格期間の特例」をこう始めます。「平成29年7月以前に受給開始年齢を迎える方は、原則25年以上の資格期間が必要になりますが、以下のいずれかの特例に該当する場合は、資格期間を満たしたものとみなされます
「みなされます」。ここが要点です。期間が実際に25年に増えるのではなく、満たしたものとして扱う。この特例は、そういう仕掛けです。

数え始めは40歳。ただし3組だけ35歳

【特例2】中高齢者の特例の本文は、たった一文です。
40歳(女性・坑内員・船員は35歳)以降の厚生年金保険の加入期間が、生年月日に応じて定められた期間以上ある」
数えるのはその年齢以降の厚生年金保険の加入期間だけ。そして35歳は、女性だけではありません女性・坑内員・船員の3組です。
この3組が束で出てくるのは、この特例だけではありません。同じガイドの受給開始年齢の特例にも、「厚生年金保険の加入期間のうち、坑内員または船員であった期間が15年以上ある方」という枠があり、そこにはこう書かれています——「なお、受給開始年齢は2ページの女性の場合と同じです

必要年数は、15年からの連番

生年月日ごとの必要年数です
生年月日必要な期間
昭和22年4月1日以前15年
昭和22年4月2日〜昭和23年4月1日16年
昭和23年4月2日〜昭和24年4月1日17年
昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日18年
昭和25年4月2日〜昭和26年4月1日19年
覚えることは、実質2つしかありません。昭和22年=15年から始まる生年が1つ進むと年数も1つ増える。あとは数えれば出ます。区切りはすべて「4月2日〜翌年4月1日」で、一覧は昭和26年4月1日生まれで終わっています(それ以降の生年月日は挙がっていません)

今もこの特例が効く場所

ここからが本題です。老齢の原則が10年になっても、この特例は消えていません。「20年」を要件にしている制度が、特例該当者だけ15〜19年に線を引き直すからです。
場面原則の線中高齢の特例に該当する方
加給年金額が加算される厚生年金保険と共済組合等の被保険者期間を合わせて20年以上厚生年金保険(一般)の被保険者期間が15〜19年
振替加算を受ける(本人の期間が短いこと)厚生年金保険と共済組合等の加入期間の合計が20年未満であること厚生年金保険(一般)の被保険者期間が15〜19年
中高齢の寡婦加算額が加算される死亡した夫の厚生年金保険の加入期間が20年以上20年未満の加入期間で受給資格期間を満たした方はその期間
加給年金額は、止める側にも顔を出します。「配偶者が老齢(退職)年金(被保険者期間が20年以上、または中高齢の特例に該当する場合に限る。)の受給権を有するとき」は、加給年金額が支給停止されますもらう側の20年にも、止める側の20年にも、同じ特例が刺さるわけです。
中高齢の寡婦加算額は令和8年度で635,500円、40歳から65歳になるまでの間の加算です。ここで20年に届かない夫でも、中高齢の期間短縮の特例で受給資格期間を満たしていれば「その期間」で足りる——加算がつくかどうかが、この特例ひとつで変わります

ひとことで持って帰るなら

覚えるのは2つです。数え始めは40歳(女性・坑内員・船員は35歳)必要年数は昭和22年=15年からの連番で昭和26年=19年まで
そして、この特例が短縮する25年はもう原則ではなく、平成29年7月以前に受給開始年齢を迎える方に残っている線です。それでも問われ続けるのは、加給年金額・振替加算・中高齢の寡婦加算額の「20年」を書き換えるから。表を忘れても、この位置関係が残っていれば組み立て直せます。

出典

この記事は 2026.04.01 時点の法令で書いています。法令・通達・判決文は著作権法13条により自由に利用できます。内容は必ず原文もご確認ください。 この記事の note 版は こちら(note版は公開時点のまま更新されません。最新はこのページです)。