INAXメンテナンス事件|オペラ合唱団員の労組法上の労働者性
出演基本契約を締結した合唱団員が、個別公演ごとに出演契約を締結して公演に出演していた事案で、年間シーズンの全公演への出演可能性の確保という目的、実際の出演辞退の僅少さ、出演内容の一方的決定、公演日程への拘束、報酬の支払いなどを総合的に考慮し、労組法上の労働者と認められた。
INAXメンテナンス事件
争点 — なにが争われた?
年間を通して多数のオペラ公演を主催する財団との間で期間を1年とする出演基本契約を締結し、各公演ごとに個別公演出演契約を締結して公演に出演していた合唱団員が、労組法上の労働者に当たるか。
結論 — どうなった?
出演基本契約が、試聴会の審査で一定水準以上の歌唱技能を有すると認めた者を、原則として契約期間の全ての公演に出演することが可能である合唱団員として確保し、公演を円滑かつ確実に遂行することを目的とし、出演基本契約の内容や公演件数・演目・日程等が一方的に決定され、実際の出演辞退が僅少で、公演・稽古の日時・場所で拘束を受け、合唱指揮者の指揮を受け、稽古参加状況の監督を受け、指示に従って労務提供した場合に報酬が支払われていたという事実関係の下では、合唱団員は労組法上の労働者に当たる。
覚える一文 — 判決原文のまま・選択式で狙われる
「試聴会の審査の結果一定水準以上の歌唱技能を有すると認めた者を,原則として年間シーズンの全ての公演に出演することが可能である契約メンバーとして確保することにより,上記各公演を円滑かつ確実に遂行することを目的として締結されていたもの」
記憶フック
業務委託型契約でも、事業組織への組み入れの必要性と実際の拘束が強ければ、労組法上の労働者と認められる。
試験でねらわれるポイント
- 個別公演出演契約の締結義務が明示されていなかったこと、出演辞退による再契約での不利益がなかったこと、制裁がなかったことだけでは、全く自由に公演を辞退できたとは言えない。実際の運用や合意内容を総合的に見る必要がある。
- 出演基本契約と個別公演出演契約の二層構造であっても、基本契約で年間シーズンの全公演への出演可能性を確保する目的があれば、実質的には継続的労務供給関係と評価される。
- 公演や稽古の日時・場所は専ら被上告財団が一方的に決定し、約230日の出演・稽古参加があり、年間約300万円の報酬(超過稽古手当含む)を受けていたことが、報酬が『労務提供自体の対価』と評価される重要な事情となる。
このカードは、裁判所が公表する判決文とその要旨をもとにAIが下書きしたものです。「覚える一文」は原文と一字一句同じであることを確認し、さらにAIが再チェックしています。出典は上のリンクをご覧ください。